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「少女はまさに神童と呼ばれるに相応しい可憐な美少女だったそうじゃ」
神主様はまるで護神木に話しかけるように口を開いた。
「本当に凄い子じゃったそうじゃ…
勉強は常に一番。運動も出来て絵も上手い。欠点という欠点は無く、まさに神の童子。
神童じゃった…
神童…すごいように聞こえるじゃろ?
人並み外れた才知を持った子供。誰もが一度はなりたいと思うはずじゃ。
だが幸福なんかじゃ決してありゃせん。
人並み外れた才知を持つという事は周りの人とは違う才知を持つということじゃ…
それがどういう意味かわかるか?
周りの人は尊敬した。
自分には出来ない事が出来る。
憧れ。感心。尊敬。
様々な感情が沸いてくる。
多感な子供なら尚更じゃな。
しかし感情にも様々なものがある。
決していいものばかりではない…
自分よりも優れた者に抱く感情がある。
嫉妬という感情じゃ…
なぜアイツには出来て自分には出来ないのか。
なぜアイツには…
なぜアイツばかり…
少女に対する周りの反応は尊敬から嫉妬へと変わっていってしまったのじゃ…
やがて同じクラスの一人が悪口を言った。
子供というのは不思議なもので一人がするともう一人がマネをする。するともう一人のマネをし、もう一人。もう一人と増えていく。
いじめの始まりじゃ…
最初はほんの数人だったいじめっ子も時が経つにつれだんだんと増えていった。
最初は少女をかばっていた者もやがて離れていき独りぼっちとなった…」
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