コーヒー (美紗)

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私はコーヒーがあまり好きではない。 あの口の中に広がる嫌な苦味は好きにはなれない。まるで今の自分みたいだから。だけどアイツが煎れてくれるコーヒーは美味しく思える。アイツのコーヒーを飲んでいたら心が温まるから。 なぜだろうコーヒーの作り方は変わらないないのに、これが私が今思っている最大の疑問だ。 愛情かしら?なんてロマンチックなことを考えてみたりする。 だけど私をここまで愛してくれた人は両親以外で彼が初めてだ。 私がいつもワガママ言っても文句を言わず聞いてくれる。愛されてるなっていつも実感するけど素直になれない私。そんな苦い気持ちと今飲んでるコーヒーの苦味とがシンクロしてしまう。 本当は甘えたい。だけどプライドが邪魔をしてしまう。今甘えてしまったら自分に負けてしまうそんな気がする。他の人がこんな話しを聞いたら笑うかもね。 でも、もし自分の気持ちに素直になったら今飲んでるコーヒーは美味しくなるかな? 私は考えた。 …………そうか!アイツのコーヒーを飲んでる自分は素直だから美味しんだ。 なんだ、そうだったんだ私は思わず笑ってしまった。 あっ、そろそろアイツが帰ってくる。 3 2 1 「ただいま~」 ほらね、帰ってきた。 「遅いわよ!もうお腹ペコペコ早くご飯作りなさい!」」 あちゃ~、またやっちゃった。 ゴメンね馨。だけど今日は少しだけ素直になれそうな気がする。 私が最後に飲み干したコーヒーは少しだけ美味しかった。
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