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「ピンポーンッ!」
楢の家のチャイムを鳴らす。
「弌宮ですけど~」
インターホンに向かって話しかける。応答なし。よし…帰るか!…って、そうじゃなくて…。
「楢っ!いるのはわかってるんだからさっさと出てこい!!」
2階の部屋を見上げながら、叫ぶ。残念ながら、カーテンからちょこっと見えたのよね。居留守なんぞされてたまるか!
「別に隠れてる訳じゃないんですけど…。」
楢がゆっくりとドアを開けて出てきた。
「じゃあ、1回のチャイムで出てきなさいよ…」
楢は立場が悪いのをわかっているのか、さっさと回覧板を私から受けとる。
「それじゃ、帰るわ。」
私は早く立ち去りたかった。寒いし。
「ちょっと待って!」
あろうことか…楢に呼び止められた。用事ないだろ!
「何よ…?」
私はあらかさまに不機嫌な声で返した。
ここで立ち止まらずにさっさと帰ればよかった…。私の失態。今じゃもうどうしようもない…。
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