博士の半生

2/6
前へ
/31ページ
次へ
コンクリートの箱のような家だ、と女は思った。 窓は小さく、外壁には蔦が覆っている。 一見すると人は住んでいないかのように見える。 女は小旅行へ行くようなボストンバックを持って、その家のインターフォンを押した。 しかし住人は出てこない。 出掛けているんだろうか? そんなはずはない。 住人はここ何年も他人と接することなく、この家に閉じ籠っていると聞いている。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加