壱・準備

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  紅葉に起こされて約三十分。 「陽飛遅……」 「陽飛様のことを呼び捨てにしたらダメだよー」 「大丈夫大丈夫、本人の了承得てるから」 たぶん。 「なぁ、紅葉…。何でそんなくっついてくんの?」 紅葉は蓮の背後から抱き締めていた。 「紅葉が蓮君のこと気に入ったから! 気にしなくてもいいよ」 そう言われても、背中にいやらしいものが当たってるんですけど……。 「でもぉ、何かしてきたら…」 紅葉が耳元で、 「殺っちゃうよ?」 嗚呼これって、 理不尽だぁぁ!!! 心の中で泣いていると、扉が開いた。 「あ~…网菜(アミナ)も五月蝿いなぁ」 頭を掻きながら陽飛がやっと戻ってきた。 「何やってんだよ紅葉。今授業だろ?」 あれ? 抱きつかれていることはスルーですか?! 「どうせ、自習だもん」 「アホか。さっさと戻れ」 「イーヤ!」 さらにきつく絞められた。 これはもう首絞められている領域だ。 「く、苦しっ」 机をバンバン叩く。 「も、みじ、放せっ」 ヤバい。 なんか昇天しそう。 あっ、もう昇天してるんだっけ?
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