零・死亡

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  「……おい、親指出せ」 突然、青年が言い出した。 「はぁ…」 素直に親指を出した瞬間、ピリッとした痛みが走り、痛がる間もなく指を紙に押し付けられた。 「…っ!いってぇ!!」 おもいっきり押しやがったこいつ! 血の出ている指を口にくわえていると、紙を見ている青年がうねり出した。 「…お前、生を望んでないようだな」 「まぁ、あんまり」 それが何か? 「春樹 蓮、ただいまより下級死神として、冥王・朱蛇螺(スダラ)の元で働いてもらう」 「え?」 「二度と生を望まない者は死神になるんだよ。 転生したってどうしようもないからな。 詳しい事は冥界で話す。ついてこい」 身を翻す青年の後を茫然と着いていく。 「あっ」 青年が立ち止まった。 「いい忘れてたが、俺の名前、綾瀬 陽飛(アヤセ ハルヒ)な」 「陽飛?」 聞き返すといきなり頬をつねられた。 「俺は上級死神だ。で、お前は下級になった。 せめて『さん』くらいつけろ」 「むむっ!嫌だね! 陽飛って呼んでやる!!」 陽飛はキョトンとして、いきなり笑い出した。 「はは!いいねぇお前、昔の俺そっくりだ」 あんまり嬉しくない。 不機嫌丸出しの蓮は、陽飛に冥界に連れていかれた。
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