~血溜~

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 その次のページから空白が続いていた。  日記の主は言うまでもあるまい、山葉四郎その人だろう。  ――この空白は、仕事が忙しかったのか、それとも……。  《タスケテクレ》  あの冊子に書かれた血文字が頭に過ぎる。  その時、昭平の持っていた本の背表紙と最後のページから、紙が落ちた。  それは、新聞の記事の切り取りであった。  「派手にやったな。月照の奴め。」  クラウンは駐在所の焼け跡を見て、思わず漏らす。  ――奴らしいといえば奴らしいか。  クラウンは、村人はいないだろうと、焼け跡見て、半ばそう考えていた。  ――こりゃあ生きていたとしても、火傷で皮膚の状態は最悪だろう。  殺すならば、もう少し綺麗に死なせて欲しかったな。
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