さよならを決めた夏

3/24
前へ
/107ページ
次へ
アキトは、父方の従兄弟で歳は21だった。 都心の大学に合格するまでは近所に住んでいて、よく遊び相手をしてもらったもんだ。 「おー、いっちょ前に制服なんか着て。 ついこの前まで短パンにランドセルだったのにな」 不慣れな手つきで煙草に火をつけたアキトを見る。 「……煙草…」 「ん?ああ、最近吸い始めたんだ。」 黒い星がいっぱいついた箱(袋?)を見せて、白い歯を見せるように笑った。 「へー……早死にするよ?」 「あはは、だな!」 だな、って…… 呆れながら見たアキトの横顔が、 前よりも何だか大人に見えた。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加