さよならを決めた夏

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「おじさーん、おばさーん、こんちわー!」 「あらアキト君、久しぶりね。さっきお義姉さんから電話頂いたわ。 今年もこっちで夏休み過ごすんですってね」 玄関で喋り始めた母とアキトを尻目に さっさと部屋へ上がる。 「年が明けたら就職活動ね~、あんなに小さかったアキト君がもう社会にでるなんて…」 母の声を気にしないように部屋に鞄を置いて、また下りる。 大人の話は居心地が悪い。 「ねぇ母さん、玄関で喋らないで上がって貰ってよ。」 積もる話は僕の方があるんだから。 「あらあら、そうね。 ごめんなさいねアキト君、さ、どうぞ。」 あはは、失礼します、と居間へ上がったアキトに麦茶を出す。 さあ、何から尋ねようか。 外のセミに負けない位、うざとく話を聞いてやろう。
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