第一部 2

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俺の中には、悠貴を手に入れる為の策略がいくつも浮かんでいる。 「ただし、アレがお前に惚れたらの話だ」 その一言は、俺を打ちのめすのに充分な威力があった。 「爺、今更どういうつもりだ」 自分で思った以上に、声が低くなる。 「1年の間に、悠貴の気持ちがお前に向いたなら、アレはお前のモノだ」 1年以内か…。 楽勝だな。 「言っておくが、1年以内にそれができなければ、諦めてもらうからな」 爺に釘を刺されるまでもない。 しかし、一体何を企んでいるんだ。 本当に、本心が読めない爺だ。 「さてと、儂は悠貴を迎えに行ってくる。帰るまで好きにしていて構わないぞ」 「ああ。分かった」 俺の返事に満足したのか、爺はさっさと書斎から出て行った。 主のいなくなった部屋に用はない。 書斎を出て、庭へと足を向けた。 庭の隅。 屋敷に背を向けるように、そのベンチは置かれている。 誰が何の意味があって、設置したのかは知らない。 俺はそこに座り、過去へと思いを馳せた。 13年前。 俺はこのベンチに膝を抱えて座っている、悠貴を見つけた。 後ろ姿だったけど、その背中は何故か寂しそうに見えた。
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