第一部 1

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   と言うよりも、興味が持てないと言うのが正しいか…。  はっきり言って、俺は俺以外の存在など、何とも思わない。  和実も東堂も、高校時代からの友人だ。  だが学生時代と比較すれば、秘書をしている和実とは違い、東堂と会うことはほとんどない。  こうして和実から聞くぐらいで、聞いたところで何も思わない。  和実にしても毎日顔を合わすが、ある日突然会社に来なくなったとしても、気にも止めないだろう。  会話は必然があるからするだけ。  俺はそういう人間になってしまった。  その変化に、和実は気付いているだろう。  だからといって、和実の態度が変わる事がない。それが、俺にとっての救いだ。  望んで変わったわけではない。  変わらなければ、俺は今の立場を得ることができなかったんだ。  そのために、不要なモノを切り捨てただけ…。  それでも時々、昔の俺に戻ることがある。  さっきみたいに…。  「社長、そろそろ行きましょうか?」  和実の声が、俺を現実に引き戻す。  「そうだな」  カップに残っていたコーヒーを飲み干し、席を立つ。  ちょうど鵜飼が、会計を済ませたところだった。  鵜飼の連れの顔は、死角になっていて、確認ができない。  ダークブルーのスーツが、色の白い肌を際立たせている。  線が細く、華奢な身体。  後ろ姿だけでは、男か女か見分けがつかない。  じっと見つめていた、俺の視線に気付いたわけではないだろうが、ソイツが振り返る。  「ゆう…き…?」  ほんの一瞬の出来事。
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