1371人が本棚に入れています
本棚に追加
鵜飼との約束通り10時過ぎには、悠貴を家の近くまで送ってきた。
車を停止させ、後部座席に置いてあった紙袋を、悠貴に手渡す。
だが悠貴は中々、受け取ろうとはしない。
そんな悠貴の腕の中に、無理矢理押しつけ、そのまま唇を奪った。
軽く触れるだけのキス。
唇が離れた瞬間、乾いた音とともに、左頬に激痛がはしった。
平手打ちをされたと気が付いたのは、助手席のドアが閉まるのと、ほぼ同時。
フロントガラス越しに、悠貴が家に駆け込む姿が見えた。
玄関のドアが閉まるのを確認して、車を発進させる。
俺の機嫌はこれ以上にないほど良かった。
悠貴の中に、少なくとも俺という存在を刻みつける事ができたんだからな。
最初のコメントを投稿しよう!