楽しかった日々

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楽しかった日々

「僕の名前は霧崎 京介(きりさき きょうすけ)。趣味は読書で、特に推理物が好きです。血液型はB型です。でも、よくA型と間違われます。几帳面らしいからだそうです。誕生日は12月5日です。これからよろしくお願いします。」 パチパチパチパチ…… 目の前から拍手が飛び交う 隣で立っている先生は、誰か霧崎君に質問があるヤツと、一言言った 何人かが手をあげ、僕に質問をして来た 僕はその質問に答え 先生に一番後ろの廊下側から2番目の席に座るように言われた そう、ここは学校である 僕は、ある都会の中2の終業式を終えると、家の事情で、ここ、安士中村(やしなかむら)に引っ越して来た。 村と言っても、道はアスファルトで舗装されてるし コンビニだってある ほとんど都会の暮らしと変わらない。 変わると言えば、ご近所とのやりとりが多いと言うだけだった 僕の家は4人暮らし 両親が妹を産んだ後、交通事故で亡くなって、母方の祖父の家に転がり込んだ だから、両親の事を僕は良く知らない 妹は今年で小学6年生になる。 名前は由香里(ゆかり)僕は『ゆーか』って呼んでる 妹は僕の事を家では『にーにー』と呼ぶ。でも外では『お兄ちゃん』と呼ぶそろそろお年頃なのだろうか…… ゆーかはいつも、家で家事をしている祖母の手伝いをしていて家事のほとんどをマスターしていた。 今では僕よりしっかりしている 僕の自慢の妹だ 祖父と祖母はとても良い人で、いつも僕達を見守っていてくれた 僕達のためならなんでもしてあげると言ってくれた とても嬉しかった 僕達を育てるには相当なお金が必要だろう。 でも、そんな事を気にしていない様に振る舞って 僕達に優しくしてくれて 僕はどんなに幸せ者だろう…… そんな祖父達のためにも、早く独立しなきゃ 早く祖父達に楽をさせてあげなきゃ と言うのが僕の夢だった 席についた時、横から声をかけられた。 「よっ!俺は真田 浩司(さなだ こうじ)ってんだ。よろしくな!」 「うん!よろしくね。浩司君」 「浩司でいいぜ。『君』なんてつけられると体がムズ痒くなるからよ」 「わかったよ……浩司」 「よし!それで良い!」 浩司はケラケラ笑いながらポンポンと、僕の肩を叩いた。 僕に出来た最初の『友達』だった
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