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僕はどちらかと言うと消極的な方で、『自分から友達を作る』事は苦手だった。
勿論、友達が欲しくない訳ではない
そういう事では、自分から言い寄って来た浩司の存在はとても貴重だった。
僕達は1時間目が終わると互いに自己紹介をした。
僕はさっき自己紹介をしたばかりだから、前に居た学校の話や、僕の家の事情をほんの少しだけ話した
両親が居ない事を話すのは少し恐かった
でも、浩司は馬鹿にしたり、嫌な顔はしなくて
「へぇー…いろいろ大変なんだな……。でもさ、今が幸せならいいじゃん!」
と、嬉しい事を言ってくれた。
そうなんだ。
いくら昔に
暗くて
辛くて
悲しい事があっても
それは『昔』にあった出来事
『今』を生きる僕にはなにも出来ない
その事を浩司は知ってるようだった。
浩司はマンションに住んでいて、3人暮らし。
お兄さんがいるらしいが、高校を中退した後1人暮らしをしていて、家には居ないと言う事だった
ちなみに浩司はお兄さんの事を「兄貴」と呼ぶ
浩司はお兄さんの話をする時、とても楽しそうだった
お兄さんの事が好きと言うのは一目瞭然だった
あっ、と言う間に時間が過ぎ、昼休みとなった
すると、浩司が昼飯を食べようと声をかけて来た
僕は2つ返事でOKし、すぐに机をくっつけようとした
でも、浩司はそれをとめた
どうやら、教室で食べるのではないらしい
僕はどこで食べるのか聞いたが、
「来ればわかるよ。あそこで食べると飯がいつもより旨いんだ」
と言って教えてくれなかった
でも、その答えはすぐにわかった
僕が浩司に連れて来られた場所
そこは、屋上だった
屋上は、2m位の金網が防護柵としてあるだけの普通の屋上だった
でも、そこからの景色は素晴らしい物だった
椰子中村が一望できるのではないかと思う位見張らしが良く、とても静かだった
「どうだ、スゲェだろ!?」
「うん!スッゴいねー。椰子中村が一望できるんじゃないの?」
僕は思った事を口にした
「まぁな。ここからだったら椰子中村はだいたい見れるぜ。」
「へぇー。」
僕が感嘆の声をあげるど、後ろから女の子の声がした
「おーい!浩司!こっちこっち!」
ふと、振り返るとそこにはビニールシートをひいた上に座っている2人の女の子が居た
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