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その少年は少しの間静かになった。
やはり聞こえてはいないのか?
私は見た目では現れなかったが内心では膨らんだ希望が破裂するような失望を味わった。しかしそれは当然の事だ、希望を持つ方がおかしいんだ。
自分で自分を納得させた時、
「らく分からないや」
そう聞こえた。
「らく」は恐らく「良く」なのだろう。
「何で僕がここにいるか、考えてみたけどらく分からないんだ」
届いている!?
この人には私の声が届いてる。そう考えるだけで私の心臓が張り裂けるかのように高鳴り足が震え立っていることが出来なかった。
その後の事は覚えてない。ただ言えるのは私はそのまま気絶してしまい少年の呼んだ看護師に助けられて次の日目を覚ましたという事だけ。
起きてから体力が戻ってもいないのに屋上まで登るなんて事は自殺行為だなんて冗談にもならない事を医者に言われた。
そして私は今日もここに来ている、登ってくる途中は死にそうだったけど。今日は死にに来たわけじゃない、彼に会いたい。
それだけ。
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