歌が聞こえる二話

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「だって私は有名だから、名前言ったら分かっちゃうわ」 「分かっちゃう?何がです?こんなアパートに住んでるんなら芸能人ってわけでもないでしょう」 「ふふっ、じゃあよしましょ、貴方は貴方。私は私、それで良いわよね」 夜は耽る、何が起きても、何もなくても時は進む。 「もう一年かぁ、早いよね、特にこの一ヶ月は早かったわ」 「…………?何の話?」 「つまりはね、お別れってことなの」 「急だね」 別にいきなりだとは思ったが相手は顔も知らない隣人だ、少し悲しくもあったが呼びとめれるものでもない。 ただ、受け入れるだけ。 「それにしても一年ってどういうことですか?期限?」 「そ、期限。神様がね、許してくれたんだ、一年だけってね」 「神様?一体どういうことなの?何の話か分からないんだけど。ねぇ、貴方は一体誰なんですか?」 「私は。私の名前は―――――。」 「―――――?」 「そう、だからね、バイバイ」 それだけ残して彼女からの反応はなくなった。 彼女の名前。どこかで聞いたような。どこかで。今はまだ思い出せないらしい。 俺は眠りについた。 いつも不思議な人だったけど、神様とか言い出す不思議さではなかったんだけどな。 どうしたんだろう。
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