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「思い出せん!」
ガバッと布団から起きた俺はひとりごちた。「てか、実は聞いた事なんかないんじゃないか?だって思い出せねえし」
目を開けて布団をトバンと押し入れにしまい顔と歯を磨き。外に出る。
「あんたは一体だれだ!?」
隣の部屋の扉を叩く。ここにはインターフォンなんて洒落た物はついていない。
出てこない、まだ早朝で出掛けるには早すぎる。それに昨日までは確かに。
「こらこら、まだ早朝だ、あまり煩くしちゃいかんよ」
「あっ、大家さん、おはようございます」
「うむ、おはよう」
「この部屋の女の人っていますよね?まだ引っ越したりとか」
「ん?そこは暫く誰も使ってないはずだが」
「へ?いやでも、しかし、確かにいましたよ」
俺は大家に頼み込んでそこを開けてもらった。話の分かる大家で良かった。
そこにあったのは、
いや、何もなかった。今いる部屋も俺のいる部屋も全く同じ構造だ、引っ越してきた時の俺の部屋と何も変わらない。押し入れに死体が詰まってるということもない。ただの部屋だ。
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