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でも、何かがおかしい。
俺は何と無く彼女が夜いたであろう場所に座ってみる。
俺の部屋側の壁。
それは、それは、それは、
俺が部屋でいた位置だ。
飛び上がるように立ち上がると驚いている大家を横目にその部屋から飛び出した。
すぐ横の俺の部屋を開ける。
何故気付かなかった。
幼稚園児でも分かることだ。
俺がいつもいた壁の向こうには部屋なんて無い。
外からみれば一目瞭然過ぎる。
「一体どうしたんだ、あの部屋はもう良いのかい?」
跡を追ってきた大家がそんな事を聞いてくる。
「えぇ、ご迷惑をおかけしました、全部僕の勘違いだったみたいです。あ、もうあの部屋は閉めてもらって結構です」
ちょっとぶつくさ言いながらも立ち去っていく大家。
さて。俺は何をすべきなのか。部屋の隣は庭とかではなくそのまま道になっている。
そのため多少は壁が厚い。
人が塗り込められるくらいには。
もしかしたら壁を壊したら何かが出てくるのかもしれない。でも俺はそんな事はしなかった。見つけてしまったらもう絶対に会えないから。
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