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私の仕事は、古本屋だ。
商売を始めたキッカケは、本の虫だったからだ。
店の場所は、市内や繁華街ではない。
あの丘の櫻の木が見える、郊外にポツンとある店だ。
周りには、少しずつではあるが、宅地造成が始まりつつある。しかし、あの丘の櫻の木が見えるなら、そんな事は気にならない。
私の店には、漫画や映画の類の本は扱っていない。扱う本は、辞典や歌集といった物が多い。
都会の大学の教授達が、私の店のお得意様だ。
今日も、いつもの時間に店を開ける。
朝からの冷え込みは、店の木戸を凍らせ、よく悪戯される。
木戸を押し開け、いつもの席に座り、日がな一日店の本を読み漁る。
あ…雪か?
店の軒先に、雪がちらついていた。
そう言えば、バスが来ないなぁ…
郊外のバスは、不定期が当たり前…
お昼を告げてくれるのは、市内へ向かうバスが通る時間なのだから。
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