殺人犯の品格

1986年７月10日 殺意

あれから、約１年…
１ヶ月に２回の割合で、｢尾崎 櫻｣さんが店にやって来る。
最近の女性に珍しく、古い歌集や古文に興味があるらしく、私の店で立ち読みをしにきている。
私自身、困りはしないので立ち読みしていても、何も言わないし、邪魔をしないようにしている。
今日も、昼から店に来店しては、本を手にとり読み漁っている。
彼女も、本の虫なのだ。
３時になると、彼女お手製のｸｯｷｰと、私のこだわりのﾊｰﾌﾞﾃｨｰで一息する…そしてまた読み漁るのだ。
最終のバスがでる前に、閉店する。
そして、閉店する前に、彼女が帰る。
ここ数ヶ月、いつもそうやっていた。