†1st story†

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「君のお酒だよ。  君をイメージして作ったんだ 」     彼の言葉に驚き グラスと僕の顔を交互に魅る。   それから、グラスに口をつけた。     その時   彼が(笑え)と言う。     この二ヶ月、いくどとなく言われた命令。     でも、僕は一度も笑った事がない。         いや     笑えないんだ。         僕は初めて彼に   母ですら教えてくれなかった   ある事についてたずねてみた。               ―“笑顔”って  どうやって造るんだ?       ―というか今、どうして笑わな きゃいけないの?             彼は答えられないのか なんなのか分からないけど   何も言ってはくれなかった。       仕方がないので   いつも通り無表情で   グラスの中身が減っていくのを眺めた。
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