†1st story†

15/20
前へ
/242ページ
次へ
彼女は目をまるくした。 やっぱりここもデマか と思った時、     「今、私が持ってるよ~」       彼女は僕らを一瞬、石にする呪文を唱える。     そして、僕らは   (マジか!!) 「マジか!!」   叫んでしまった。     その叫びに 店中の人が振り向く。   元々静かな上密閉されているのでよく響くのだ。   慌てて彼女は僕にしーっと言った。     場が落ち着いたのを見計らって 彼女に耳打ちする。     「なんで持ち歩いてんだよ」     彼女は当然という調子で答えた。     「お守りにしてるの。  硬いからなんか守ってくれそ うだな~って」     (バカが!!)   それに彼がキレる。           無理もない。     『箱』は『彼自身』     と言っても過言ではない代物なのだから。     しかし、彼がこうなってしまっては手のつけようがない。   もう聞き取れた部分だけ彼女に言う事にした。       「それはお守りじゃない!  むしろ人を不幸にするいわく つきの箱なんだよ!!」   これに驚いた彼女は青ざめ、パニックに陥り   「そういえば店に入った頃にこ の箱を………    まさか  今までのはコレのせい?!」        上着のポケットから 『箱』を取り出して 投げ捨ててしまった。       見た目は   ただのカラフルなボロボロの木箱――――             なのに   投げ捨てられてもビクともしない。         まるで     “彼の怨み”が   箱を包み込んでいるようだ…
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

585人が本棚に入れています
本棚に追加