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彼女は目をまるくした。
やっぱりここもデマか
と思った時、
「今、私が持ってるよ~」
彼女は僕らを一瞬、石にする呪文を唱える。
そして、僕らは
(マジか!!)
「マジか!!」
叫んでしまった。
その叫びに
店中の人が振り向く。
元々静かな上密閉されているのでよく響くのだ。
慌てて彼女は僕にしーっと言った。
場が落ち着いたのを見計らって
彼女に耳打ちする。
「なんで持ち歩いてんだよ」
彼女は当然という調子で答えた。
「お守りにしてるの。
硬いからなんか守ってくれそ うだな~って」
(バカが!!)
それに彼がキレる。
無理もない。
『箱』は『彼自身』
と言っても過言ではない代物なのだから。
しかし、彼がこうなってしまっては手のつけようがない。
もう聞き取れた部分だけ彼女に言う事にした。
「それはお守りじゃない!
むしろ人を不幸にするいわく つきの箱なんだよ!!」
これに驚いた彼女は青ざめ、パニックに陥り
「そういえば店に入った頃にこ の箱を………
まさか
今までのはコレのせい?!」
上着のポケットから
『箱』を取り出して
投げ捨ててしまった。
見た目は
ただのカラフルなボロボロの木箱――――
なのに
投げ捨てられてもビクともしない。
まるで
“彼の怨み”が
箱を包み込んでいるようだ…
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