†2ed story†

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(いいじゃん。見つかったんだ し。  早く壊しに行こー)      無責任な彼に呆れつつ 僕は彼の言葉を言う。     「その箱見せてくれたら  今回の事はなかった事にする よ」      それならお安い御用と喜んで 少年は僕を店に案内してくれた。          ――店は人通りのある 見た目もかなりしゃれた料理店だった。     なのに中には客が全くいない。       (前と同じだな。    今回は本物だといいんだけど ……)      彼の呟きと同時に お会計所に座っている 店長らしき人が顔を上げた。   多分、少年の父親だろう。     「お父さん!  お父さんの箱を見たいって言 ってるんだ。  見せてもいいよね?」       「あぁ。いいよ。  ちょっと待ってな」    そう言い残して 店長は奥に入って行った。            しばらくして 例の箱を持って出てきた店長は     「これは旅人さんから買ったん ですが、    これが店に来てからいい事な いんですよ。    家内は病気がちになるし  客が来なくなるわで困ってる んです」     と笑顔で言う。        彼はのほほんとした笑顔にイラつきながら   いつも通り説明をし始めた。           「……持つものを不幸にする箱 ……」    店長はきょとんとしている。     「それは大変なものを買っちゃ いましたね」   とまた笑った。     信じるつもりはないらしい。
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