†1st story†

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「おい。この町になんでも   『どんな事しても壊れない箱』   があるらしいぜ」      とにかく賑やかでうるさい町の酒場で男二人が話している。     「……っかじゃねーの?!  んなのある訳ねぇじゃん」      吹き出した酒を拭いつつもう一人の男は答えた。  くだらない事ばかりで盛り上がっているこの町の人にとっては、ビッグニュースだったのだろう。    これでこの話が終わってしまいそうだったので  僕は急いで話しかけた。       「その箱は  どこにあるんですか?!」      急に話しかけてきたのと 僕の顔に驚いて男二人は一時停止したが すぐ我にかえる。     「お前きれーな顔してんなぁ    つーか、この町のもんじゃな いだろ?」      どうでもいい話に持ってかれてしまいそうだったので、うってかわった口調で質問に答えろとせまると たじろぎながら男二人はこう言った。   「知らないのか?  この町の決まり。  町の人間以外にはこの町での 事は話せないんだよ」   結構聞こえたんだが。     (困ったな。  やっと二つ目の箱を壊せるか と思ったんだけど……)   ―仕方ない。  やっぱりどこの町も旅人には 冷たいものだし……。
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