†1st story†

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 ガッカリしてその場を離れようとすると   その話を聞いていたマスターが 耳打ちしてくれた。     「この町で一回でもいいから働 いてみな。    もしかすると教えてくれるか もしれないぞ」        ――そこで また“彼”の独り言が聞こえてくる。   (丁度金なくなってきた所だし  明日役所で仕事貰おー。  てか、独り言じゃねーし!)    とりあえず、僕は彼を無視し 酒場を出た。            あの初めて『箱』を開けた夜から、僕の中に転がり込み    今、僕の中だけでこの世界に存在し、活動する事ができる          “彼”は        《クロノス》という。          以前、『箱』が堕ちてきた夜より前には 彼の身体は存在していたらしいのだが        “ある事情”で     精神だけの存在となってしまった。
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