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「それはほら、ウルリーケは眞王の意思を受けて君を呼び出してたわけだろ?」
「あー…そーいや、そんなこと言ってたような…。」
「ということはだ、少なからず魔力を持っていた僕が渋谷の近くにいる時を狙って眞王が君を呼びつけていたとしても不思議はないと思うけど。」
「ああ~…言われてみれば、そんな気がしなくもないかも…。」
―ほら、渋谷はそうやってすぐ丸め込まれる。素直なのは美点だけど、頭にバカがつく程だと逆に心配になってくるよ―
とは言え、眞王程の魔力の持ち主ならばあるいは、大賢者の魔力を感知することも不可能ではないはずであるし、僕の解釈もあながち間違ってはないのだろうけど…。
如何せん、相手はあの眞王。果たしてどんな思惑があったのか、自分には到底予想出来ないのは事実だ。
「まぁ、つまりは、彼なりの気遣いだったってことなんじゃないの?」
だから、いつものように軽い調子で話を締め括ると、渋谷は微妙な顔をした。
「…そんな気遣いする気があるんなら、もっと簡単に…ほら、扉を開けたら別世界~とか、机の引き出しから次元を越えて~とか、そんな方法にしてくれた方が俺的には嬉しかったんだけど。」
渋谷はたまに、こんな夢見がちな発言をすることがある。これは、彼の母親の教育の賜物か、はたまた、ギャルゲ大好きブラコンメガネ兄の影響か。どちらにしろ、確実に渋谷家の血を色濃く継いでいることは間違いないだろう。本人は激しく否定するだろうけれど…。
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