マったりしながら…

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「渋谷…それはテレビの観すぎだよ。言わなくても分かってるだろうとは思うけど、眞魔国に猫型の精密機械を創れるような夢の高等技術はないからね。無事に着けるだけで良しとしないと。」 「そりゃ、十分分かってるつもりだよ?でもさ、アニシナさんだったら何か作ってくれそうな気がするじゃん?」 「ま、彼女なら出来ない事はないかもだけど…」 これを肯定とみた彼は、とんでもない言葉を口にした。 「だよなー!!俺、今度頼んでみよっかなぁ♪目指せ、脱☆スタツア!!」     ―…ねぇ、渋谷。それって、スタツアよりも危険を伴う可能性の高い自殺行為だってことに気付いてる?―     とか思っていても、彼が自分で気が付くまではそっと見守るつもりなんだけどね。僕も結果が気になるところであるし。   「ま、健闘を祈っておいてあげるよ。さてと、僕はそろそろ上がるけど、渋谷はどーする?」 「ああ、俺も上がる上がる!!あ、そうだ。すっかり忘れてた!!村田、この後何か予定ある?」 「ん?特にないけど?」 これといった予定もなかったのでそう答えると、彼はこう続けてきた。 「じゃあさ、俺ん家に寄って飯食って帰んねぇ?」   これは、願ってもない申し出だけど…   「そりゃ…僕は構わないけど、突然行ったら迷惑になるんじゃない?」 「全っ然!つーか、俺的にはむしろ大歓迎?…実はさー、おふくろがまたカレーを大量生産したからちょっと困ってたりするんだよな。」 成程。要するに、一人あたりのノルマを少なくしようっていう作戦なわけだ。考えたな。 でも、渋谷家のカレーって実は、僕の好物の1つだったりするんだよね。彼の動機は不純だけど、これはかなり嬉しいお誘いかもしれない。   「そういうことなら遠慮せずにお邪魔しよっかな。美子さんのカレーかぁ…久々だな~♪」 「よっしゃ!そうと決まれば、急いで着替えて帰ろうぜ!!」 そう言って、立ち上がった渋谷の後ろに、突然小さい渦が・・・。 「うん。って、うわっ!!渋谷…後ろ後ろ!!」 「後ろ?・・・って…はっ!!こ…これは、まさか…」 「…そのまさかみたいだね。はぁ…僕も、も一度入り直さなきゃいけないのか~…。」 「また?またなのか!?もう、スタツアはこりごりだぁぁ~!!!!」   渋谷の叫びが、貸し切りの銭湯に虚しく響いた。     …どうやら、渋谷家カレーはまたもや暫くお預けらしい。
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