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バンッ!!
『はぁっはぁ…』
病室のベッドで寝ている女性。
その周りを、医者と数人の
看護師が囲っている。
『先生…』
『…今夜が峠です』
一番聞きたくなかった言葉が、無情にも心に突き刺さる。
急いでベッドに駆け寄り、
『っ……母さん』
その声に反応し、うっすら目を開けほほ笑む。
『和嗄-カズサ-』
『母さんっ…』
『ごめんね…もう少し和嗄と一緒に居たかったんだけど…もう時間みたい』
『嫌だっ…行かないで!』
『和嗄…』
『1人は嫌っ…お願い…』
溢れる涙が止まらない。
『それは出来ないの、分かってるでしょう?』
母の指が優しく涙を拭う。
『そうだ』
引き出しの中から何かを
取り出した。
『御守り』
そう言って渡されたのはデザインの違う幅が少し太い3つのリングだった。
『これ…母さんが大切にしてるリング……』
『あなたを守ってくれるわ』
『でもっ…』
『和嗄、泣くのは今日で最後にしなさい。明日が来たらまた笑って?お母さん和嗄の笑った顔が大好きなの』
『っ…約束…するっ…よ』
『うん…もうお別れみたい』
『母さんっ!』
『和嗄、大好きよ。私の…
愛しい…子…』
頬を触っていた手がゆっくりと崩れ落ちた。
『母さんっ!?母さん!!』
『御臨終です』
『うあああああああっ!!!』
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