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「おやすみ」
そう言って落される優しい温もりが好きだった。
面倒臭がる貴方にせがんで、苦笑する貴方の顔が好きだった。
「大好き」
珍しくそう言うと、貴方は少し驚き柔らかく笑って答えた。
「俺もだよ。世界一ね」
キツく抱締められ、苦しいはずなのに心地よかった。
「ね。大好きだよ」
そう言ってももう答えてくれない。
「おかしいよね。私の夢、貴方のお嫁さんだったんだよ」
もう冷たくなっている彼の頭を撫でながら瞳から温な水を流しながら笑った。
「おやすみ」
そう言い、少女は動く事は無い少年の額にキスをした。
END
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