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チョキ、チョキ。
チク、タク。
ハサミの重なり合う金属音と、大きな柱時計の振り子の音だけが室内を支配している。
アタシは、湊の前髪を切ろうと鏡を見つめたときだった。
バチッと視線が絡まる。
途端に目を逸らし、はやる気持ちを落ち着けようと躍起になった。
ば、バカ!
今は目の前のカットに集中しなきゃダメでしょ自分!!
だが、一生懸命正常を保とうとするほどパニック状態になってしまう。
湊「?どうした、千冬?」
そんなアタシの異常に気付いたのか、湊はクルッと振り向いた。
千冬『な、なんでもないっ!』
フイッと顔をそらすと、アタシは胸をキュッと押さえた。
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