エンゲージリング

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会社の近くにある讃岐うどん屋と立ち食いの回転寿司屋をパスして、僕は行きつけのとんかつ屋に足を向けた。 つぐみとよく行った店だった。女の子のくせに、つぐみはカツ丼が大好きだった。 この店では、三つ葉が山盛りにのった、店の名物「カツ丼雑炊」がなによりのお気に入りだった。 華奢な身体のいったいどこに、あの大きなどんぶりの中身が入っていくのだろうかと、僕はいつも不思議に思いながら、つぐみの食べっぷりを見ていた。 カツ丼を食べているときにも、つぐみはとてもきれいだった。
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