15人が本棚に入れています
本棚に追加
先が全く見えないほどの吹雪である
「どうしたもんかね…」
別に吹雪に困っている訳ではない。
ここは殺人事件の起きそうな山小屋でもなければ、様態の急変した患者を抱えた田舎の診療所でもないのだ。
ただの住宅地の中の一軒。
それでも、
「はぁ……」
憂いに満ちたため息はやまない。
机の上に並べられているのは、成績表、模試の結果、大学のパンフレット…
もう決めなくてはならないと言うのに、全く決まらない。
成績が悪いわけではない
進学する気がないわけではない
ただ、全く見えないのだ
自分の進みたい道が
自分の目指す未来(さき)が
まるでこの吹雪のように、先が全く見えない
いつ止むかも分からない吹雪の中に、今立っているのだ
ただ、いつか吹雪が止み、先が見通せるようになるときを待って
最初のコメントを投稿しよう!