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夜が明けようとしている頃に、ようやく旬とフルーンは街を見つけ街の手間で小休止を取っていた。
「なあ?俺の格好、変じゃないかな?何て言うか、こんな服見たことないとか」
旬は数キロ先の街を見つめながら傍らのフルーンに訊ねる。
「変でし。それに泥でばっちいでしよ。ついでに顔ももう少し格好良かったら………」
フルーンは街道に生えている花をいじりながらトゲトゲしく言う。
「おいおい何で怒ってんだよ、道を間違えたのはお前だろ? 観ろよ。夜が明けてるぜ? 夜通し歩いたせいで疲れ………」
言っている途中で止める、フルーンが泣きそうになってるから。
「解った俺が悪かった……って言うと思ったか? 嘘泣きだろ、バレバレなんだよ」
徹夜疲れのイライラで、つい辛く当たってしまう。
案の定フルーンはポロポロと泣いてしまった。
「悪かったよ。ほら泣いてないで俺の服装とかで変な所を指摘してくれよ」
「…………」
しかしフルーンは涙をゴシゴシと右腕で拭き、黙って街に歩き始めた。
「お、おい。待てよ、謝ったろ?何を怒って」
フルーンは振り向いて、体に捲いてある厚手のカーテンを旬に投げつける。
「お、おい!」
頭に掛かって視界を遮られてしまい、慌てて布を取ろうともがく。
なんなく布を取ると、目の前に居たフルーンは体をオコジョに戻して街の方へと走っていた。
旬は追い掛けようと思ったが、いかんせん足が違う。フルーンは、どんどんと街に近付いて行った。
「なんなんだよ」
旬は手にした布を握りしめ呟いた。
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