第一章 小さき伴侶

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「ここは何処だ?」  地面に座っていた少年は、ゆっくりと立ち上がり、呟きながら辺りを見回す。  視界に入るのは鬱蒼と生い茂る木々。 「……富士の樹海?」  目に入る景色を総合した結果を口にするが、自分自身それはどうかと思ってしまう。  だが、森の中にいるという点は間違いでは無さそうである。  少年は一瞬考えてから、ポケットに手を入れると携帯電話を取り出す。 「……圏外」  ある程度予想していたのか、少年は携帯電話を折りたたむと、再びポケットに仕舞う。 「困ったな」  そう呟くと、付近に落ちていた自分のバッグを確認する。  見る限り中身は何も盗られておらず、財布も無事だった。  一瞬、一般人を対象にしたドッキリを模したテレビの企画かとも思ったが、昔ならともかく今の日本のテレビでは、そこまで過激な内容は無いと思い、即座にそれ否定する。 「なら海外か?」  海外のテレビならやりそうだが……それらしき物は見当たらない。  巧妙に隠してあると思い、周囲の茂みを探すが何も見つからなかった。  しばらく色々と考えては何かをしていたが、最終的に少年は自分が倒れて居た場所に戻り、今日の記憶を辿る事にした。
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