―希跡―

第一話 女

　ﾋﾟﾛﾘﾝ♪
　携帯が鳴る。

「またメール？」

俺のｼﾝﾌﾟﾙな携帯の画面を、覗き込むように見る親友の隆弘。

「こういうのは、迷惑メール」

呆れ顔で携帯を閉じ、ポケットに放り込む。

「やっぱ遥はモテんなっ！」

「…勝ってに寄って来るだけだし」

「ﾊﾊｯ、やっぱ言うｺﾄ違うねぇ、俺もそんなｺﾄ言ってみてぇよ！」

俺の肩を笑いながらポンッと叩き、机の上に勢いよく乗る隆弘。