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彼岸花が咲いている田んぼの畦道を鼻歌混じりで歩く男の子が一人。
容姿は、純血の日本人であるにも関わらず、金髪碧眼だ。
名前は片倉小十郎。伊達家に小姓として遣えている。彼岸、実家が神社。と言うことからか、久しぶりに里帰りに来たらしい。
実家の神社に続く階段が見えてきたとき、小十郎の足が止まった。
『誰だろう…』
視線の先には、緋色の着物を着た見知らぬ女の子。階段を上り降りしながら一人で遊んでいるようだ。
小十郎が階段を上り始めたら、女の子が話しかけてきた。
「お兄ちゃん、ここの神社に御詣りに来たの?」
「い…いや…ここが僕の家だから…」
思わずぶっきらぼうに答えてしまう。女の子はしょげてしまうのかと思ったが、真逆の反応が返ってきた。
「すごぉい!!お兄ちゃん、神社に住んでるんだ!!」
大きい目を更に大きくして、小十郎に身を乗り出してくる女の子。その勢いに小十郎は気押され気味だ。
「い、家が偶々神社なだけだよ。君だって、夕方になれば家に帰るだろう?」
小十郎が少し、突っぱねる様に応えると、女の子は少し寂しそうな表情を見せた。
「私ね、お父さんにここに連れて来られたの…『お父さんは戦場で仕事がある。お前は、
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