chapter.1

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ゲルの中を目玉が動き回っているのにその瞳は常に俺を追っている。 この時点で俺が選べる選択肢は1つだ。 逃走。 当たり前だろ? ゲームのキャラじゃあるまいし俺にはたたかうなんてコマンドは搭載されてない。 逃げる為に振り返り、走り出そうとした。 振り返った先にも黄色いやつがいた・・。 しかも2匹も。 完全に囲まれてしまった。 緩慢な動きではあるが徐々に距離を詰めてくる。 奴らとしてもせっかくの獲物を逃す気はないらしい。 よく見るとゲルが通り過ぎた場所の草が溶けてしまっている。 きっと捕らえた獲物は包み込んで、溶かして吸収するのだろう。 俺はこんな訳のわからない場所で死ぬのか? しかも死因は溶死? そんな聞いたこともない死因で死ぬのはぜひ勘弁していただきたい。 なんとか逃げ出す方法はないのか・・。 奴らの間を駆け抜けるのはさすがに無謀だろう。 しっかり等間隔で距離を縮めてきている。 待てよ? ならばあえて奴らの1匹に向かって突っ込んで行って、上を飛び越えるというのはどうだろうか。 横の動きには強そうだがまさかあの形状でジャンプしたりはしないだろう。 よしこの作戦でいこう。 俺は覚悟を決めた。 呼吸を整え、膝を曲げてダッシュに備える・・・ 「待て!!」
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