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今日は久しぶりに早く帰宅できた。
高槻は、ネクタイを緩めながら妻に申し訳ない思いを抱いていた。
結婚してまだ一年だ。
新婚といえる時期をほとんど一緒に過ごすことができなかった。
共に食事を摂ることは、数えるほどしかなかったのだ。
「伸一、ご飯できたよ!」
妻の声は、心なしかいつもより弾んでいる。
二人で食事をし、二人で風呂に入り、抱き合った。
甘い新婚生活というものを、初めて味わった気がする。
脱力感が心地よい。妻が右腕にぎゅうっとしがみついてくる。
妻のおでこ、唇、首筋、乳房へと位置を下げながら、もう一度優しく愛撫し始めた。
二度目の脱力感の中、高槻は久しぶりに穏やかな睡眠につこうとしていた。
突然、携帯電話の着信音が鳴った。
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