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それは、私がドクターから頼まれて機材をラボに運んでいるときの事だった。
「あ、あの………ドゥーエさん!!」
不意に声が聞こえた。
凛とした、まだ声がわりもしていないであろう少年の声。
「はい?」
振り向いた視線の先にいたのは――――
「あ、あらエリオくん。どうしたの?」
エリオ・モンディアル陸曹だった。
若干12才で陸曹にまで上り詰めた機動六課最速のガードウィング。
六課の誇る二人目のエースオブエース。
そして私が思い募らせ恋焦がれる始めての想い人でもある。
きっかけは些細なことだった。
私の機体処分が決定し、溶鉱炉に投げ込まれた時に間一髪で助けてくれたのがエリオくんだったのだ。
私が「何故、助けたの?私はあなたたちの敵だったのよ?」と聞くと、彼は包み込むような笑顔で予想外の言葉をいってきた。
「事件は終わったんですから敵も味方もありません。それに僕は自分の関わったことで犠牲は出したくない。自分が助けることが出来たはずの人をみずみず見殺しにしてしまうなんて僕には出来ませんよ」
一目惚れだった。
その言葉には今まで私が見てきた男たちにはないものが含まれていた。
それは相手を思いやる心だ。
今思えばその日から私は変わったのかもしれない。
恋するドゥーエは切なくて………~DUE&?~(前)Fin.
Next.Act恋するドゥーエは切なくて…~DUE&?~(後)
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