お菓子の家

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むせかえるような匂いの立ち込める家でした。 甘ったるいシロップのような、頭がクラクラになる匂い… この家、変な草をいぶしてる―――! 経験の無いヘンゼルにも何となく分かりました。 この家の中は、薬漬けになっているのです。 甘ったるい匂いは草と、シロップと、情交の液の匂いでした。 何人かが周りでうごめいているのは、おそらく… 手首をロープで戒められたヘンゼルが、ドサッと床に投げ捨てられました。 「これ息子か?なかなか綺麗な面してるじゃあないか」 男達が体を服越しにまさぐる感覚に、ヘンゼルは頭が混乱しました。 「僕はおと…!」 「…男だからなんだ?」 ヘンゼルは、青ざめていく自分が第三者のような感覚で分かりました。 あの行為は、男女で子供を授かるための愛の契りじゃあないの……? そんな考えがふと頭をよぎりましたが、クラクラした脳髄が体を敏感にさせます。 「いや…だ…いや…ガフッ」 「うるさいな」 口にゴワゴワした何かが突っ込まれました。 出てくる時に携帯したパンでした…
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