朝になり…

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「ぐ…」 気だるい体を無理矢理起こし、ヘンゼルはあたりを見渡しました。 「う…うっ」 あたりには甘いシロップではなく、血や残滓が散らばっていました。 「が…げえええっ」 胃から込み上げたモノを、まき散らしてしまいました。 グレーテルは…? グレーテルはどこに行ったのでしょうか…? 男達も居ません。 おそらく村長の息子も、同じ事をされたのだ… と、ヘンゼルはぼうっと思いました。 気が触れたと思われて当然だろう、お菓子の家なんて言い出したら… いや、さんざん玩具にされて本当におかしくなってしまったのかもしれない。 男達がどこに行ったのかは分かりませんでした。少しココを離れたのか、完全にヘンゼルを置いていったのか。 扉は簡単に開きました。ロープが千切れ、片手だけに垂れた状態でヘンゼルはトボトボ歩き始めました。
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