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枯れ枝を拾いながらヘンゼルが言いました。
「グレーテル、おまえは知っているかい?森の深い所にある、お菓子の家の噂を」
「…うん」
「この間、村長の所の息子が行方をくらましてたろう?森から出てきたのを発見されたんだと」
「…」
「そこであいつ『お菓子の家』とか連呼してたようだけど…実際はどうなんだろうか」
ひととおり話を終えたヘンゼルが、足を止めました。
「今夜森の奥に行ってみないか」
「え…」
「父さんにおみやげ持って朝帰ろう」
森の奥と言われる所は、猛獣が出る危険な地帯として、人々は近寄ることをしませんでした。
だからこそ何かがあるー
ヘンゼルは思いました。
「まだ見つかってない狩猟場か、沢山の木の実もあるかもしれない…」
「…」
「行こうグレーテル」
不安げな妹を説得したヘンゼルは、枯れ枝をまとめると夜が来るのが待ち遠しいとばかりに、張り切って帰路につきました。
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