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ロープの終わりが見えてきました。
鬱蒼と生えた樹木の切れ目が向こうに見えます。
喜び駆け出すヘンゼル。「家みたいのが見えるよグレーテル!早くおいで」
「…?」
眼前に現れたのは、色とりどりのタイルやレンガ作りの家。
「…お菓子…で出来ている訳じゃあ、無さそうだな」
鵜呑みにしていたわけではありませんが、それでもヘンゼルは少し落胆しているようでした。
「…」
グレーテルはそんな兄を見て、自分もなんだか辛くなってしまいました。
と、
背後から何かの気配が2人をこわばらせました。
だんだん、近づいてきます…
『…隠れるぞグレーテル』
ひそひそヘンゼルがつぶやくと、グレーテルを引っ張り少し離れた茂みに身を潜めました。
じりじり寄ってくる感覚が2人に嫌な汗を滲ませます。
…同じロープを伝ってきている…
2人は感じました。
そして月明かりの下、開けた小屋前にあらわれたのは…
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