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何を話しているんだ…
ヘンゼルもグレーテルも耳をとぎすませ、男達の会話を盗み聞きします。
「居なくなっただぁ?家出するようなヤツらじゃないだろうが」
「それが本当に居ないんだよ!起きてからココに来させる算段だったのによ」
「来させるって、お前どうして説明すればココに来る気になるってんだ?ガキんちょ共がよ」
「噂に乗ってー『お菓子の家』があるからロープを伝って行ってこいーとか言っときゃ行くぜ?」
下卑な笑いをうかべた父親が続けます。
「あいつらは俺の言いなりだからよ」
ヘンゼルがそっとグレーテルの手を握ります。
父親にそう思われてる事は、知っていました。
でも、聞きたくなかった…
『…』
グレーテルは、酒屋の主人から漂う異様な空気が気になって、早くそこから離れたい気持ちでした。
「で、ガキ共が消えたんだから金は無しだぞ」
「いや、待ってくれよ…家に戻りゃ案外ベッドで寝てるかもしれん」
「…じゃあ早く見てこいよ…」
金?
「え…」
グレーテルが思わず声を震わせると、2人の男がこちらの方をゆっくり見てきました…
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