森の奥

5/5
前へ
/22ページ
次へ
何を話しているんだ… ヘンゼルもグレーテルも耳をとぎすませ、男達の会話を盗み聞きします。 「居なくなっただぁ?家出するようなヤツらじゃないだろうが」 「それが本当に居ないんだよ!起きてからココに来させる算段だったのによ」 「来させるって、お前どうして説明すればココに来る気になるってんだ?ガキんちょ共がよ」 「噂に乗ってー『お菓子の家』があるからロープを伝って行ってこいーとか言っときゃ行くぜ?」 下卑な笑いをうかべた父親が続けます。 「あいつらは俺の言いなりだからよ」 ヘンゼルがそっとグレーテルの手を握ります。 父親にそう思われてる事は、知っていました。 でも、聞きたくなかった… 『…』 グレーテルは、酒屋の主人から漂う異様な空気が気になって、早くそこから離れたい気持ちでした。 「で、ガキ共が消えたんだから金は無しだぞ」 「いや、待ってくれよ…家に戻りゃ案外ベッドで寝てるかもしれん」 「…じゃあ早く見てこいよ…」 金? 「え…」 グレーテルが思わず声を震わせると、2人の男がこちらの方をゆっくり見てきました…
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

189人が本棚に入れています
本棚に追加