第2章【落下】

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『時間の無限を唯一肯定するものは何だと思います?』 聞こえた言葉は日本語ではあったが、何を言っているのか全く理解できなかった。しかしその言葉は明らかに光のなかから聞こえていた。 時間の無限?時間は有限じゃないか。時間を無限にできるものがあるならば誰かが既に使っているはずだ。しかしソレを無限にできるものがあるだと?そんなのあるわけない。 『あるんですよ…ヒヒヒ…現にあなた、死んでるはずのあなたが今こうして落ち続けてるじゃないですか…ヒヒヒ…』 そう光は奇妙な笑い声を発した。 ん?確かにそうだ、学校の屋上から地面までは五秒、しかし明らかに五分…いや十分は経過してる。このままこの状態が経過していくなら、時間の無限は証明できるかもしれない。…しかしその要因はなんなんだ? 『あなたが死に瀕してることですよ。』 死に瀕していると時間は無限になるのか?よく理解できない。 『今あなたが直面している状態はその前兆にすぎないんです。人が死に瀕したときに出くわすもの…それが答えなんですよ…ヒヒヒ…』 光はまた奇妙な笑い声を発した。 死に瀕したときに出くわすもの?そんなの知るものか。 『ご存知ではないですか…ヒヒヒ…、それはね、走馬灯なんですよ。』
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