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『走馬灯と飛ぶ矢は同じことですよ。物質世界では動いて行く時間も、脳世界では時間でさえも止まってしまう…ヒヒヒ…。あなたは物質世界を生きる住人だった、この20年間…失礼…19年と10カ月は…ヒヒヒ…。しかしあなたは死とゆうこの極限状態に陥ることで脳世界の住人と化したのです。それは飛ぶ矢もピタリと空中で止まってしまう世界。そこであなたは幼少期から今までの思い出を走馬灯として見ることになるわけです…ヒヒヒ…』
確かに…限りある落下までのたった五秒間で、全ての回想を終えるとゆうのは不可能だろうとは思っていた。しかし…僕が脳世界に移った…と言われても今一ピンとこない。
『理解するには時間がかかりますよ。私が今まで出会ってきた人間のなかには、理解するのに物質世界で20年かけた人間もいますから…ヒヒヒ…』
へぇ、これによって時間は無限になるわけだ。それだけわかれば僕には十分だった。
『その方が懸命です。そしてこれから貴方は走馬灯のスライドを見て思い出に浸る…よろしいですね?』
まぁそれも乙なものだろう。
それに僕は走馬灯によって、死を免れたのだ。
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