第1章【通過するはずの1日】

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2007年1月10日、冷たい風の吹く冬のことだった。僕は一週間前に急いで買ったスーツを身にまとい、しっかりとネクタイを絞めた。 『健次!!友達待たせてるんでしょっ!早く準備して降りてきなさいっ』 一階から母の怒鳴り声がした。朝から怒られることほど、気分の悪くなることはない。僕は一度大きなため息をつくと一階に降りていった。 降りると、案の定母は寄ってきて僕の身なりにケチをつけた。ネクタイが曲がってるだの、髪型がどうだの、僕の頭には全く入ってはこない言葉だった。今日とゆう日はそんなに大事な日なのだろうか。僕はまだ19才なのに、『ハタチとしての自覚』とゆう堅苦しい小言を聞かされ、その後で中学生の時の友達とワイワイお酒を飲む日だ(こうゆう時だけ『ハタチ』とゆう特権を行使するのだ)。そんな日はただの通過点でしかなく、僕の節目はもっともっと先にあった。強いて言えば、僕の誕生日は2ヶ月後なのだ。 そんなことをボケっと考えてる僕を母はいぶかしげに見た後、 『健次、もう待ち合わせ時間を10分も遅れてるわよ。勇気君に迷惑でしょ?』 と僕を急き立てた。わかったわかった…と言いながら、僕は履き慣れない革靴を履いて外へ出た。
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