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体がフワフワ浮いているみたいに心地よい。
実際、本当に浮いているんじゃないかと思い、足をばたつかせて空を泳いでみようとしたぐらいだ。残念ながら、足は商店街の道のタイルにカツカツと当たるだけで、泳ぐことは出来なかった。
「キャー!」
……悲鳴だ。
ふふん、タコみたいな動きをする僕を見て、驚いたんだな。さぁ、もっと恐がれ! 恐怖のタコ怪人がここにいるぞ! 骨だって、こんなにフニャフニャだぞ!
「ねーちゃん、チョットだけでエエんや。ワシとエエとこに行かへんか」
「やめて!」
何だ。どうやら僕の事ではなかったらしい。女の子がチンピラに絡まれているようだ。
触らぬ神に祟りなし。僕は空気のようにそこを通り過ぎる事にした。
……が、ヨタヨタの千鳥足が僕をそうさせてはくれなかった。
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