骨折4

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「ワレのせいで逃げられたやないか。どないしてくれるねん」 「どないもしませんよ。だって僕は、何も悪い事なんかしていない」 女の子に貰ったほんの少しの勇気と、殴られた怒りのおかげか、僕はもうそれほど恐怖を感じていなかった。 「なめくさっとんちゃうぞ! ボケが!」 チンピラは何と、懐から拳銃を取り出した。僕はわずか3秒で恐怖を取り戻した。 「あわわ……!」 もうなりふり構っていられるもんか。女の子はもういないし、格好なんか付けなくていい。僕は必死に命乞いをしようとした。 「わ、私が全て悪いせぶっ! どうか命だぎっは助けくふぅ!」 緊張しすぎてうまく言葉が出ない。 「死にくされっ!」 もうダメだ。 僕は死ぬ。 いや、死にくさる。 そう思った時だった。 『ポキリ』 情けない音を立てて、右足のスネが二つに折れた。 支柱を失った僕の体は、糸の切れた操り人形みたいに、地面へ崩れ落ちた。
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