骨折4

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「な、何や! 気色悪いやっちゃな!」 そんな僕の姿を見て、チンピラは少し怯んだようだった。 僕は左手を地面に突っ張って、何とか上半身だけを起こした。 痛い。右足が裂けたように痛い。いびつに折れ曲がった自分の右足を見て、痛みがさらに増した。 「もう、許してください」 「ワ、ワシは何もやってへん!」 チンピラは一度下ろした拳銃を再び構え直して、僕の方に向けた。 「こんなんでは腹の虫が治まらん! やっぱり死んで貰うで!」 『ポキリ』 今度は体重を支えていた左手が、僕の代わりに悲鳴を上げた。そして、またも僕は地面に伏した。 頬に当たるタイルが、ひんやりと冷たい。地面に顔を突っ伏した僕は、満足に声を出す事も出来なかった。 「ぐえええ……!」 「ひいっ!? バ、バケモン!」 左手と右足を捻曲げながら奇声を上げる僕を、チンピラは『バケモン』と形容した。 「ち、違ひゅる」 『違う』の三言すらまともに言えない。 「ち、『ちがひゅる』!? や、やっぱりワレ、バケモンやな!? それは、ワシを呪い殺す呪文やなっ!」 チンピラは一人で勝手にうろたえ始めた。 「ち、違ひゅる」 「うわぁっ! 堪忍してぇっ!」 チンピラは拳銃を放り出し、猛ダッシュでどこかへ逃げ去る。 置き去りにされた拳銃を見つめながら、僕はゆっくりと意識を失っていった。
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